科学者のあくなき挑戦
人間は成長するために夜にしっかりと睡眠時間を確保しなければいけないと言われていますよね。
これは成長ホルモンが眠っている間の時間帯に多く分泌されるからだという説が有効視されています。
昔の人が「寝る子は育つのだから早く寝なさい!」とよく言っていたのはあながち嘘ではなかったのです。
夜にしっかり休ませることは人間だけではなく、植物も同じだと言われています。
日中は太陽の光をしっかり浴びて光合成をすることで成長するものだと思われていますが、夜に休ませなければ正常に成長しないとされています。
特にトマトに関しては最低でも8時間の暗期が必要とされています。
24時間光を浴び続けると、途中で黄色の斑点が生じて枯れてしまうそうなのです。
植物に暗期が必要なのはある意味仕方がないことだと思われますが、生産農家さんにとってはこの時間が無駄になってしまうのも事実です。
24時間で育つトマトができれば効率良く生産できるようになるのでありがたいと感じるでしょう。
実は、オランダの科学者集団が光を浴び続けても育つトマトの研究を重ねていたのですが、ここ最近発表された論文によるとトマトが時間によって成長が左右される性質を変えることができる遺伝子を発見できたと報告しています。
実は昔からトマトの光の照射時間と生育の関連性についての研究が行われていたそうですが、栽培に使用されないトマトについては24時間光を浴びせ続けても問題がないトマトが存在していたことは確認できていたそうなのです。
このトマトになぜ光に対する耐性が存在しているのかを研究した結果、ようやく遺伝子の発見に成功したというわけです。
研究者たちが諦めずに研究を重ねた結果ようやく実を結んだといえます。
24時間でトマトが育つ遺伝子とは
オランダの研究者たちが発見したのは、CAB-13と呼ばれている遺伝子です。
この遺伝子は特定の植物で光に対する反応をコントロールする役割を担っています。
これをトマトに配合してみたところ、24時間光を浴びせ続けても20%育つという結果が出たため、8時間の暗期を与えた時に30%成長する結果と比較してもかなり良好な結果が現れていると言えます。
この研究成果によって24時間で育つトマトの実現に向けて一歩進んだかのように感じられますが、まだまだ課題が多いのも事実です。
他の遺伝子が何らかの関係を与えている可能性もありますし、タンパク質などの成分がどのように影響し合うのかについても未知数の部分が多いのです。
これらの問題点を一つずつクリアしていきながら、24時間で育つトマトを実現させるまでは長い道のりが必要になると思われますが、研究者たちは決して諦めることなく開発に取りくんでくれることでしょう。