深夜営業から撤退する外食チェーン
新型コロナウイルスの位置付けが「5類」へと変わり、夜の街は徐々に活気を取り戻しています。
しかし、かつて24時間営業していたマクドナルドをはじめとするファストフード店やすかいらーくグループなどのファミレス業界は、コロナ禍に短縮した営業時間を戻すことなく、むしろ24時間営業の廃止を加速させています。
また、24時間営業の代名詞ともいえるコンビニも短縮営業を行う店舗が増えています。
24時間営業の必要性については意見が分かれており、「必要」派は特にコンビニの24時間営業が不可欠だと感じているようです。
深夜に急な必要性が生じた際や安全な場所としての役割を果たすことから、その重要性を訴えています。
「不要」派は、深夜営業する店舗が社会的役割を果たしていることを認めつつも、その責任を全て民間事業者に委ねるべきではないとの意見があります。
深夜急行バスも廃止
この問題は店舗だけでなく、交通手段にも影響が広がっています。
一例では、東急バスが2022年に深夜急行バスと通勤高速バスを廃止しました。
これらは、コロナ禍で運休となったまま廃止という流れになりました。
廃止理由について東急バスは、「コロナ禍の生活様式の変化によって、深夜急行バスの需要にも変化が生じたため」という趣旨の発表を行っています。
テレワーク、長時間残業の禁止、終業後は寄り道せずにまっすぐ帰る等、働く人々の生活様式はコロナ禍をきっかけにして大きく変化したことは事実のようです。
人手不足と物価高騰という側面
人々の生活様式の変化とともに、営業時間が短縮されたもう一つの要因として、人手不足と物価高騰という側面があります。
特に日本では慢性的な人手不足が大きな問題となっており、現在多くの企業がこの問題に直面している関係から、人件費の増加も無視できません。
さらに光熱費の高騰も企業の負担となっており、営業したくても深夜にコストをかけて営業することができない、という事態に陥っているケースも少なくありません。
人々の生活様式に変化が起こる、深夜の交通手段に影響が出る、深夜営業の店が減る、さらに深夜の街に人がいなくなる、というように、今後もこのループは加速していくと予想されています。
24時間営業の未来
日本の24時間営業の未来については意見が分かれます。
インバウンドの需要に伴い、日本独自のおもてなし文化として、新しいエンターテイメントビジネスのような深夜営業を再構築、ITやAIを活用した運用改善や価格戦略の見直しをするべきとの意見があります。
24時間営業への回帰よりも、新しい産業や業務形態等、新たな社会構造を模索するべきとの意見も。
今後もこの営業時間短縮問題は続くでしょう。